気づいた時には手遅れ?!
認知症と不動産の名義変更は、思っている以上に早めの備えが必要です。
家や土地は、一生の資産。
けれど、将来オーナーが認知症になれば「名義変更」というたったひとつの手続きが、思わぬ壁となります。
ご家族の安心や資産の守り方、今こそ一緒に考えてみませんか?
認知症と不動産の名義変更の大きな壁
高齢化が進む今、「親名義の不動産をどう守れば良い?」と心配するご家庭が急増しています。
認知症が進行してしまうと、本人の意思能力が失われるため、売却や贈与などの法律行為ができなくなります。
実際に、司法書士が登記申請時に所有者本人の意思や判断力をしっかり確認できない場合、登記手続きを進めることはできません。
なぜ意思能力が重要なのか
民法では、契約や贈与といった法律行為は「意思能力」が不可欠と明記されています。
意思能力とは「自身が行った法律行為(契約など)の意味やもたらす結果を理解し、判断できる力」のことです。
認知症による意思能力の喪失は、その人が行った法律行為を無効にしてしまいます。
家族の同意や代理意思だけでは対応できず、本人の判断力確保が必須なのです。
認知症になった後の名義変更はどうなる?
認知症が進行した後は、原則として売却や名義変更を行うことができません。
介護や施設への入居費用の捻出のためなど、たとえ本人のために不動産を処分する必要性が出てきた場合であっても、本人名義のままでは手続きが進みません。
こうした場合は「成年後見制度」を利用するほかなく、家庭裁判所による成年後見人の選任、居住用不動産であれば、売却許可の申立てなど複雑な手続きと数ヶ月の時間を要します。
また、成年後見人は本人保護のため財産を維持管理する責任を負うため、自由な売却や資産活用は制限されることもしばしばです。
事前準備が不可欠!家族信託・任意後見・遺言書を活用
認知症リスクに備え、元気なうちから法律的な準備を重ねることが最も重要です。
主な対策として以下の3つ。
- 家族信託の活用
元気なうちに信託契約を締結しておけば、親が認知症になった後も受託者(家族等)が定められた範囲で不動産の管理・売却・資産運用などを合法的に行うことが可能です。
信託契約には意思能力が必須なので、本格的な認知症になる前の準備が大切です。
任意後見契約
「判断能力がしっかりしているうち」に、信頼できる家族や専門職を任意後見人に指定し、生活サポートや財産管理を事前に契約。
本人の判断能力低下後も代わりに任意後見人が手続きを行えます。
遺言書の作成
財産の承継先や分割方法を生前に親自身の意思で明確化しておくことで、希望の実現、残される家族間の紛争予防や、安心につながります。
また、遺言書を公証役場で公正証書遺言の形式で作成しておけば、紛失や改ざんといった心配も無く、また相続開始後の家庭裁判所での面倒な「検認」手続きも不要で、すぐに手続きを進めることが可能です。
なお、遺言書は認知症対策ではありませんが、認知症の発症後は遺言書の作成にリスクを伴いますし、認知症の程度によっては遺言書が作成できないこともあるので、元気な間に作成しておくことをオススメします。
その場しのぎの名義変更はトラブルのもと
「認知症はまだ軽度だから」「家族で意思確認できているから」と、安易に手続きを進めるのは危険です。
後日、売買契約の有効性を巡って争いになることが十分に考えられます。
疑問や不安がある場合は、まずは信頼できる司法書士や弁護士などの専門家に相談をし、適切な対策を選択しましょう。
司法書士法人entrustでは、
・家族信託の設計・契約支援
・任意後見契約の組成・手続きサポート
・遺言書作成・見直し相談
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