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認知症と不動産管理のリスク

2025.9.30

売れなくなる・貸せなくなる前にできる対策

認知症が進むと「資産凍結」の危険

高齢化社会のいま、不動産オーナーにとって一番怖いリスクは「所有者が認知症になり、不動産を売ることも貸すこともできなくなる」ことです。

実際、親が認知症を発症し、施設入居や介護費用のために自宅を売りたいと思っても、判断能力を失っていると売却手続きもできなくなり、収益物件の賃貸契約も締結できず、資産が事実上“凍結”されてしまいます。

家族信託のメリット ― 柔軟で迅速な管理

家族信託では、元気なうちに自宅やアパートなどの不動産を受託者(信頼できる家族)に移し、その管理・処分を託しておくことができます。

認知症発症後でも、受託者が財産の売却や大規模修繕、賃貸契約更新などを本人の代わりに実行できるため、収益の確保や自宅の売却による介護費用の捻出がスムーズに進みます。

主なメリット
・認知症による資産凍結を予防できる
・不動産の売却や賃貸契約などを柔軟に行える
・相続時のトラブルを防ぎたい場合にも有効
・相続時の分配ルールも柔軟に設定できる

任意後見と家族信託 ― どちらを選ぶ?

任意後見制度も認知症リスクや財産管理のために活用されますが、家族信託と比べて以下のような違いがあります。

比較項目家族信託任意後見制度
財産管理の柔軟性大きい(売却・運用・賃貸等まで委託可能)制限あり(原則現状維持、後見監督人への事前相談必要)(※法定後見の場合は家庭裁判所の許可必要な場合あり。)
対象財産契約で指定した財産に限定契約で指定した財産に限定(※法定後見の場合は本人名義の全財産)
裁判所の関与なし(契約内容で完結)監督あり(監督人の選任、報告義務など)
発効タイミング契約時から効力発生(認知症発症後も管理可能)判断能力低下後に発効
財産所有権受託者に名義変更し管理本人に所有権が残る
身上監護(医療・介護)原則不可可能

元気なうちの準備しか「防ぐ方法」はない

認知症になる前に準備しなければ、できる対策は大幅に減ります。

家族信託も任意後見も「本人の意思能力があるうち」しか契約できないため、今こそ早めに専門家に相談し、自分と家族の安心な財産管理方法を選ぶことが大切です。

家族信託や任意後見制度などの認知症対策で迷われたら、司法書士法人entrustへご相談ください。
カテゴリー:不動産登記,終活,家族信託,
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